迷走なの?

『新世界より』は第8話だけど、未だに作品のテーマも方向もはっきり提示されないってのはどういうことなんでしょうか。先週は脚本が、今週は作画が雑でした。

「ボノボ型の愛の社会」を人工的に植え付けたと聞かされておたおたしていた割には、あっさりカップリング受け入れてあちこちでサービスシーンを雑な絵で展開しているのを30分見せられるのは、かなり心の折れる体験でした。悩めよお前達!

このまま毎週「あのときには、それがあのようなことになるとは思いもしなかった」って聞かされるのでしょうか。視聴継続どうしますかね。

『サイコパス』 第6話

冒頭の回想シーン、咬噛(こうがみ)執行官が降格された因縁が明らかになります。

標本化技術を使った過去の残虐な事件で、咬噛は部下を失います。その事件を追う過程で犯罪係数が急上昇したことこそが、彼が監視官から執行官に身を落とした理由でした。その事件の裏で糸を引いていたと思われる男が再び姿を現し、新たな犠牲者が産まれます。

2話完結のエピソードもこれで3つめですが、く物語を取り巻く主題的なものが見えてきました。当然、中心軸は第1話の朱(あかね)のモノローグにあったように咬噛と槙島の間の戦いになると思われますが、その周りでは舞台装置である「コンピュータが決める人生」が重要なテーマとして動いています。

これまで浮上してきたキーポイントらしきものを整理してみましょう。

  • 咬噛は捜査の過程で犯罪係数が上昇し、執行官へと左遷された。朱はどんなストレスを受けてもすぐに色相がクリアになる性質である。
  • シビュラ・システムは、犯罪者に対する即時判決だけでなく、個人の仕事の決定まで行っている。スローガンは「成しうるものが、為すべき事を為す」。
  • 縢執行官は、子供の頃から犯罪係数が高かったため、外の世界を知らない。はじめから選択の幅などなかった。
  • 朱は超優等生で、どの省庁からも優判定をもらっている。選び放題の中から自分のしたいことを見つけるために公安に来た。
  • 璃華子(りかこ)は「本当に望む姿」の話を葦香(よしか)にしている。

自分探しっぽいテーマですかね。

一方で何となく社会設定が甘い気がします。今回、逮捕した犯罪者の取り調べシーンがありましたが、変な話です。刑の執行は機械が決めるのですが、何の取り調べの必要がありましょうか。取り調べの必要がない以上、取り調べという行為や、取調室もないはずで、つまりは宜野座(ぎのざ)監視官は逮捕された男と話をしたければ、留置所の面会所か精神病院の面会室になるはずです。

3話で咬噛がやった挑発も、「ストレスにより犯罪係数が上がる」ことがわかっている以上、おとり捜査以上に不愉快な行動です。だって、一般人を殴り続けるだけで、その被害者は犯罪係数が上がって逮捕されるんですよ。なんとなく社会的な面の掘り下げが甘い印象を受けます。

設定やキャラ名が中二病全開な本作ですが、『中二病でも恋がしたい』のキャラによるサイコパス・パロディを誰かが描くのではないかと密かに期待しております。

『さくら荘のペットな彼女』 5話 踏んじゃったか

咬ませ犬かと思って悲しい気持ちに浸っていたら、青山さんがさくら荘に乗り込んできました。がんばれ青山さん!

と言うものの、がんばりすぎの青山さんに『意地を張るな』と言った空太は、思わぬ激しい反応に戸惑います。青山さんからすると、さくら荘入は学費確保のために出費を抑えるのが目的ですが、空太がましろ係にであることを知ってからは、ましろと空太が近づきすぎないように大回転をはじめたため、休む間が無くなってしまっています。ただ、怒ったのはそこが原因じゃないように思いますが、どうでしょう。実家で両親が言ったようなことを空太が言っちゃったんじゃないかなぁ。

ましろの方は、嫌な顔こそしませんが、青山さん登場で生活のサイクルや空太との距離が狂ってしまっているので、青山さんを避けたい様子。というか、無防備すぎですね。雑誌買いに行く話の場面は良かったです。

『サイコパス』 4,5話

サイコパス4,5話は2話連続。「誰も知らないあなたの仮面」「誰も知らないあなたの顔」

5話まで見終わって、ようやく世界感が飲み込めました。遅いぞ俺。この世界は犯罪係数が重要なのではなくて、犯罪係数がすべてなのですね。数字が大きければ測定現場で即死刑。だから、執行官なんて名前なわけですか。悪即斬。それにしても、裁判所いらずというか、現場と直結しているのが精神病院ってのが何とも言えません。

第3話を見た後に「ストレスを与えれば犯罪係数が上がることはわかっているんだから、これは冤罪だろう」と考え、誰もツッコミを入れない世界感をずさんと考えていたのですが、そもそもこの世界には裁判所も検事も弁護士もないということなのですね。酷い。現場の執行官も当然善悪の判断をせずにドミネーターが示す数字に唯々諾々と従っているだけで、そう言う意味ではドミネーターという名前には制圧機だけではなく、支配者の揶揄も入っているのかもしれません。

犯罪者の考えを知ろうとすると、犯罪係数が上がる。だから考えるな、と宜野座は言います。彼は最初から一貫していますね。執行官を人間と考えるな、ドミネーターの数字に従え、犯罪者の考えを知ろうとするな。黙って、機械の言われたとおりに引き金を引け、心を殺せという彼の態度の裏には、後悔の念があった、というのが5話の結論でした。

咬噛は第2話からなんだか変だったので、今回明かされた過去話は特に驚きはありませんでした。というか、「刑事やってれば犯罪係数上がるだろう」と思っていたので、メンバーのうち誰かはそんな感じだろうとは思っていました。

とすると他のメンバーにも過去話が順番にまわってきそうです。お銚子もん君は自分で過去をちらっと話していましたが、ほとんど何も話さず、感情も表に出さず、淡々と任務をこなす六合塚執行官にも、同性愛以外のエピソードがあると期待しておきます。

あと、やはり常守監視官ですね。第一話は犯罪係数に無批判に従うことに対する常守監視官の異議申し立てでした。犯罪者の考えを追いすぎるあまり、犯罪係数を上げてしまった咬噛執行官と、ストレスをあっさり流してしまう事のできる常守監視官。ストーリーは2人のこんな所を軸に展開するのかも知れません。

『さくら荘のペットな彼女』 第4話 「色を変える世界」

べなたラノベだなぁと思っていた『さくら荘のペットな彼女』ですが、実際ベタです。そして第4話でベタゆえの力強いストーリーを見せてくれました。

空太はがんばっているましろの姿をみて自分でも目標を探すべくさくら荘を出ると決意します。七夕に於いても短冊に書く願いを見つけられない空太ですが、そんな空太をよそにましろは『空太の願いが叶うように』と願をかけます。

ヒロインは病気だろう!というツッコミはおいておくとして、ほとんど話さないゆえのすれ違い、嘘をつかないゆえのストレートな言動が活きたストーリーでした。一方で、空太の方ですがましろに抱いたであろう複雑な感情の中から嫉妬だけを伏せていたため、弓を引き絞るようにためられたその感情が雨の中で吐露される様子は印象的なシーンになっています。それにしても、「新人賞の選考、外れたって」の直後の空太の表情は、見事な作画でした。ストーリーの方も、言っている内容と言いたい内容が違うという筋がよくあるストーリーと逆になっていて、これは原作者が賞賛されるべきすばらしいシーンでした。

こういった伏線があってこその綾乃と空太の会話でした。

「『それが空太の願いだから』って」。

ぐっと来るシーンです。空太が知ったましろの真心、空太が到達した自分の願い、ましろがそうあってほしいと思う本当のラスト、そう言った気持ちが全部ひっくるめて二人の対面シーンに繋がるところは躍動感と高揚感が混ざり合った場面でした。

それにしても、「不公平だわ」の一言。やっぱり茅野さんいいでしょ!うれし泣きを知らない、ということからどれほど賞をとっても感動をしたことがなかったというましろの過去が暗に示された後のこの一言は、彼女が空太に漏らした初めての心からの不平です。それまで平板だった声をこの一言だけ心持ち強くして、そしてほのかに微笑みを含んだ「やっぱり」。よい演技です。茅野さんほんといいですよ。ましろじゃ役不足だと思っていましたが、どうしてどうして、役を越えて聞かせてくれます。

青山さんが噛ませ犬なのは悲しいとか、やっぱり櫻井孝宏さんの折木奉太郎を聞いてみたかったとか、ひかりはましろの事をまだ嫌いなのかとか、結構楽しめる作品になりました。

『新世界より』 第5話 逃亡の熱帯夜

当初方向性が見えなくて不安のあった『新世界より』ですが、どうやらここまで張り巡らされていた伏線が急速に改宗されてストーリーの骨格を作り上げつつあります。

夏休みのカヌーキャンプで許可されていない地域まで踏み込んだ早季達は、自らを図書館と名乗るミノシロモドキと遭い、それが人類の歴史とするものを聞きます。その対話はしかし、突如現れた僧により中断され、早季達は超能力を封じられたまま連行される途中でバケネズミの外来種に捉えられます。命からがら逃げ出した早季と覚は、地元のバケネズミのコロニーに案内され、そこで戦争に荷担するよう懇願されたのでした。

4話では、ミノシロモドキとの対話でそれまで居心地の悪さを感じていた設定がぱちぱちとパズルのピースのようにはまって形を成してきたので、ちょっとしたカタルシスを感じることができます。加えて5話ではそれを補足するように話が動き始めています。

元々1話2話で語られた過去の歴史の話と消えていった麗子、学たちは、いくつもの事を示唆していました。

  • 人類は超能力獲得による災厄を経験している
  • 超能力の利用は暗黒時代を生み出した
  • 早季達が住む世界(現代から1000年後)は、一見テクノロジーを捨てたように見えて、夕方の一斉放送があるなど、油断ならないところがある。
  • 麗子のように超能力を上手く制御できない子供や、学のように超能力を悪用する子供は間引きされる。超能力を使えない子供も同様で、社会は超能力を非常に狭い範囲でしか受容していない。
  • 子供が超能力を得たときに受ける社会的イニシエーションでは、「超能力は容易に奪い取られる」といった暗示を強く与えている。

こういったコントロールが行われていることは、過去話から考えて予想の範囲でしたが、ミノシロモドキとの対話シーンはそれに輪をかけて厳しい事実を明らかにしています。

  • 人間の超能力が一部の生物の変異の速度を速めているらしい
  • 人間が超能力を使って人間に危害を加えないよう遺伝子操作が行われた
  • イニシエーションの際には対人攻撃によって苦痛を受ける事実が体験としてすり込まれている
  • 社会的ストレスを暴力ではなく性愛によって解消するような誘導が行われている
    「人間が人間を殺す」という事に対する強い忌避の刷り込みは、ミノシロモドキとの対話シーンで少女の一人が頭を抱えて座り込んだことからも察することができます。また、ミノシロモドキが発する防衛用のイメージなども、人間の遺伝子に組み込まれた殺人封じ込めの強さを物語っています。
    また、サービスシーン直前だった早季と覚のスキンシップですが、一歩退いてみれば、ことさら強い言葉で対立寸前の関係だった二人が捕虜になった瞬間当たり前のように肌を触れあわせていると言う急激な変化が、彼らに対する「ストレス解消としての性愛」の刷り込みの強さを物語っています。加えて、その行為を「猿じゃない」と信じようとする早季の心の動きは今後のストーリーの展開において重要な鍵になりそうです。
    早季が知りたがった自分たちの出自や、「悪鬼とは何か」は伏せられたままです。また、超能力を封印されてしまった早季達ですが、これらも刷り込みに過ぎません。あるいはこれから早季達が自らのくびきを壊す物語になるのかも知れません。しかしそれはコミュニティにとっては災いです。