『re:creators』チラシの裏

わーっと書きたいことが湧いて出てくるのですが、放送直後にツイッターで話の中身に入りすぎるのもみっともないのでブログで。

この投稿の続きを読む

広告

『RE:CREATORS』の構成がしっかりしていて感心した

『RE:CREATORS』は、第21話「世界は二人のために」で大団円を迎えました。

隠し球であった自身のコピー『シリウス』まで取り込み全ての被造物を退けたアルタイルでしたが、颯太が現界させたセツナとの対話により、二人ともこの世から退場しました。大崩潰は阻止されたことになります。

2クールに及んだこの作品は当初の被造物達の戦いから創造主達へとフォーカスが変り、後半では主役級の被造物が次々とこの世を去ったため、みょうな駆け足感というか、つぎはぎ感を感じました。しかしながら、戦いが終わって見返してみると、非常に緻密に練られた伏線で個々のエピソードが繋がっており、感心する部分もあります。

以下、感じたことを書いてみます。この伏線は後ろから見ていった方がわかりやすいようです。

セツナの言葉の説得力

セツナの人生の最後の数分が丸々現界するという奇跡の中で、セツナとアルタイルが言葉をかわします。恨みを込めて作ったかも知れないとわびるセツナ、生きている内に会いたかったと本心を語るアルタイル。アルタイルは普段の声と調子が変っており、これが彼女が志を貫徹するためにいかに強い心を持たなければならなかったかを暗示しています。ナイス脚本。

アルタイルはセツナを偽物だと切り捨てることができません。切って捨てれば、現界した被造物である自分の心まで偽物であると認めることになります。現界した自分のセツナへの気持ちが本物であれば、目の前に現界したセツナも本物です。アルタイルにはセツナを退けることができません。

その上で、死んだセツナのために自分の志を遂げたい、セツナのいない世の中など消し去りたいと言うアルタイルに、セツナは説きます。アルタイルは自分一人が作った被造物ではないのだと。アルタイルはセツナの作った二次創作物に多くのアマチュアが手を加え続けた被造物です。それ故彼女は最強でした。

そして最強故に「セツナのいない世の中に価値などない」と言い切ることができないわけです。なぜなら、彼女に愛を注いだその他の多くの創造主達は生きているのですから。

被造物全滅に意味がある

ここ数回のストーリーでアリステリアやセレジアといった物語の中核に近いキャラが退場してしまいました。私も見ていて虚を突かれたというか、なんとなく意味のない退場に思えてどうしたものかと考えたものです。カマキリメガネ使えねぇ。

しかしながら、今回を見終わってみれば、彼女らの退場や、他のキャラがアルタイルに対して無力だったことはなるほど必然だったと思わざるを得ません。この物語にはアルタイルを誅殺して世界を平和ならしめるという方向もありかと思いますが、そうなると死んだセツナが全く救われません。

アルタイルを倒して死ぬ際にセツナを出すというストーリーは、彼女を出す必要がないため実行されません。

死んだセツナを掬い上げ、かつアルタイルと対話させてこの世界を守るエンドを探そうとすればそれは被造物が全て倒されるというストーリー以外には無いようです。

私はこの物語を「クリエイター達について」描いた作品だと思っているため、作者がセツナを「世の中に認められず罵倒に疲れて死を選んだクリエイター」としてここに引っ張り出してきたことは当然だと思っています。

真鍳の役どころ

アルタイルによって現界した真鍳は、どちらの陣営にもつきませんでした。彼女はどうするのだろうと考えていましたが、トリックスターとして機能したことには舌を巻きました。とてつもない脚本です。

創造主を被造物として現界させるというのは、「RE:CREATORS」という作品の世界観の中でも無理があります。だからこそ、「やってみろ」と声をかけた松原氏を始め、他のクリエイター達も颯太の案を切り札として考えていませんでした。それは無理だ、と思っているものを数に数えることはできません。オペレーション・チャンバー・フェスは失敗が許されない大プロジェクトであり、ばくちの要素は極力排さねばなりません。

そして無理のある嘘だからこそ、真鍳の能力によってその奇跡が本当の事になるわけです。作者は始めからこれを狙っていたんでしょうね。自殺した作者さんは可愛そうですが。

まみかの死にすら意味がある

中盤で退場したまみか。

前半のギスギスした雰囲気に花を添えていたので、彼女の退場で随分寂しくなりました。しかし、考えてみると彼女の死すら上のストーリーの中で必要な要素になっています。まみかの死に激昂したアリステリアはメテオラと対峙し、対話を拒みます。そして割って入った颯太と、再度かばいに入ったメテオラを見て、脳筋いっぽんやりだった考えに揺らぎが入ります。

颯太を身を挺してかばったメテオラは、アリステリアが言うところの策を弄するようなずるがしこい態度ではありません。これはアリステリアの中のメテオラ像、ひいては敵対陣営像を大きく揺るがせます。そして颯太との対話は、自分の世界の惨劇が見世物として作られていた事への怒りにたいして、別の見方をもたらしています。

結果的にアリステリアは真鍳のもとを訪れ、その会話から真鍳はトリックスターへと舵を切ります。まみかの死は、きちんとラストへ繋がる伏線になっています。

次回最終回

RE:CREATORSは「被造物が現実世界に現れる」という荒唐無稽な設定を切り口にして、クリエイター達を描いた一風変った作品でした。その構成は単なる独立したエピソードの連続では無く、それぞれのエピソードが繋がって意味のあるストーリーを組み立てています。大変よくできた構成の作品です。

政府予算で世界は救われましたが、死んだ被造物がどうなるのか、まだ明らかになってはいません。何にせよ、物語で描かれたクリエイター達はそうそうへこたれる連中ではなさそうです。次回を楽しみにしています。

Re:CREATORS 10話 前半戦終わり?

まみかの死から続く、アルタイル勢と颯太組の衝突は、真鍳による攪乱によって振幅を増し、ついに颯太組が壊滅の危機に追い込まれます。

以前のエントリで

「Re:CREATORSというタイトルには、キャラが『創造主について』語るという意味があるのではないか」

と書きました。振り返って見るとこれは想像以上に当たりだったような気がします。むしろ、番組スタッフというクリエイター達が自分語りをしているように見える事がたびたびありました。

今回の見所はなんと言っても松原氏が瀕死のセレジアを怒鳴りつけるシーンです。メテオラからは無節操と呼ばれ、そのぞんざいな物言いにセレジアが何度も反発した松原氏ですが、政府機関が接触してきたときの菊地原さんとの会話でセレジアに対する気持ちがはっきり表明されています。

「セレジア・ユピテリアさん。そちらは松原さんの創作物ですね」

「ものじゃないんで。そういう言い方はやめてくれよ」

政府関連組織に引っ立てられて呆然としていたはずの人が、怒りを露わに冷たく言い放つこのシーンは、セレジアにとっても松原という神様がどのような人間か垣間見ることのできた場面でした。そして今回です。

セレジアは2話でまみかに

「私の神様がどんな奴なのか。それは、私自身で判断するわ」

と、言い切りました。そしてそれが今回、松原氏のこのセリフにつながります。

「俺がお前の作者な限り、お前にそんな間抜けな死に方させないぞ!」

創造主の力で蘇ったセレジアは松原氏に微笑み、その姿を見て松原氏が涙ぐみます。かつてセレジアは反発しましたが、この二人は親と娘なんですよね。松原氏は始めからそのつもりで、セレジアはついにそれを認めるに至りました。

どんな人間であってもいいが作品には誠実に向き合って欲しいと言ったメテオラ。しゃんとしろと言った弥勒寺。お前のようなものに創造されたこと、慚愧に堪えぬと言ったアリステリア。いつまでも盟友だと言ったアルタイル。主立ったキャラクターの創造主への気持ちがモザイクのように語られ、物語はようやく前半が終わりました。

戦力的に大きく劣ることになってきた颯太組に対して、アルタイル組は動こうにも動きにくくなってきました。後半戦はクリエイター語りではなく、能力改変を含めた頭脳バトルに突入でしょうか。

『Re:Creators』 第6話 まみかの義

Re:Creators、物語のキャラクター達が創造主達に干渉することによって物語を『再創造(レクリエイト)』しようとしている話ですが、キャラクター達が『創造主達について(Re:クリエイターズ)』考える、タイトルどおりの話になるのではないかと勝手に予想しています。

さて、前回の感想で脚本に完敗と書いた訳ですが、今回も同じ感想です(笑)。おもしろい。キャラが立っているとか立っていないとかじゃなくて、「この設定のキャラ」と「この設定のキャラ」だから、会話がこうなるだろうという非常に練りこまれた脚本を見せ付けられました。

今回はなんと言ってもアリステリアとまみかの絡みがすばらしかったです。

まみかは登場時には一種際物扱いされていました。現代社会に魔法少女が力を振るうとどうなるかという最高にキャッチーなエピソードで登場した後、その甘っちょろさをセレジアに散々なじられました。このシーンはセレジアの見せ場で、風になびく髪が彼女の荒々しい決意を美しく語っています。セレジアの引き立て役になったまみかですが、おまけに乱入した弥勒寺優夜に一笑されています。なにが優也ですか、ぜんぜん優しくないです。

軍服の姫君もまみかのことをチョロインくらいにしか思っていないのでしょうか、絡みがありません。

が、まみかは他者とのかかわりで輝くんですよね。がちがちに『義』だけを前に出すアリステリアは、最初にまみかを救ったときに微笑みかけます。おそらくは、「危機に瀕している弱きもの」を救うという彼女の義の心がそうさせているのでしょうけれど、それゆえにまみかを横に置くことで、アリステリアの義がセレジアのそれと本質的に異ならないことがよくわかります。

まみかとアリステリアはいろいろなところが対照的です。たとえば住んでいる世界を見てみれば、まみかは物質的に恵まれた現代に近い世界に住んでいます。アリステリアのそれはおそらくは困窮にあえぐ世界です。それをビニール袋のやり取りで鮮やかに描き分けて見せた脚本を賞賛せずにいられません。

アリステリアはその世界の違いに自覚的で、6話でもまみかの世界について聞いています。このシーンはいいですね。民草の救済だけが自分の使命であり、それ以外はどうでもいいといった風のアリステリアですが、その彼女がまみかにだけは使命を超えて心を寄せています。そして、まみかとの対話で、自分の義には心がかけているのだろうと自覚しています。

味方であるはずのおっさんにまで「力を振るえないならば黙っていろ」と散々な言われようのまみかでしたが、今回ついに「元の世界に戻って友達に胸を張れないようなことはできない」とメテオラを助けます。

まみかは「よいことをする」というある意味幼稚な、しかし高潔な気持ちを貫いています。これは目的のためには手をも汚すという決意をしているアリステリアに突き刺さるはずです。それゆえに、まみかには姫君の軍勢にとどまってほしいのですが、どうなるでしょうか。

前回、菊地原さんがボタンをはずす演技に舌を巻きましたが、今回は会話に魅せられました。

 

『月が綺麗』 第5話

初恋によって景色が変っていく二人を描く本作。

初々しい二人をめでているだけで十分楽しいのですが、今回は副題が『こころ』です。それだけで(やめてくれ!)と思ったわけですが、最後まで観てやっぱり3角関係であることに絶望しました。

千夏ちゃん、いい子なのであまり苦しい話に巻込んで欲しくないのですが、公式サイトのキャラクター設定をみて絶望感を深めています。

人の持っているものを欲しがるところがあり、悪気無く「いいなー、ちょっとちょうだい」ということがよくある。

なんだよこの設定!だから大人は嫌いなんです!

『正解するカド』 第5話 発想に驚く

第一話こそ何処に向かうのか不明でしたが、ここに来てどうやら政治・思想アニメかな?と思い始めました。

事実上無限の電気エネルギーを生成する「ワム」。全数を国連管理下に置くよう要求した国連安保理決議に対して、ヤハクィサシュニナは首相に会談を求め、急場をしのぐ秘策を授けます。

「保有するワムは全数国連に渡す。ところで、これがワムの作り方です」

なるほど政治的にOKなわけですが、ここに来て設定のうまさに舌を巻いてしまいました。電気って、大量破壊兵器に直結しないのです。毒ガスや核兵器と違って、大量の人を一挙に殺そうとすると、電気的兵器というのはそれらの人が存在する空間と同程度に大きくならざるをえません。あり得る手段としては殺人ビーム兵器くらいですが、これは国家レベルの開発能力が無いと作り得ない兵器です。そうすると、

「世界のあらゆる所に一斉に大量破壊兵器を手にしたテロリストが現れる」

という話にはなりません。あくまで危険なのは国家ということになります。なので、無尽蔵の電源が与えられると、危険よりも遙に多くの救いが地上にもたらされることになります。

「無尽蔵の電力を供給できる素子、と電力供給素子を無尽蔵に供給できることは違う」

こんな簡単な事でも、気がつくためには怖ろしく自由な発想が必要です。いやー、まったく脚本家はどんな頭をしているのでしょうね。

作品世界ではワムによって一挙に経済構造と貧富の格差が塗り替えられることになります。

「衣食足りて礼節を知る」

が、本当なのか口だけなのか、人類が問われる話になります。ああ、楽しみ!

『Re:Creators』 第5話 脚本に完全敗北する心地よさ

Re:Creatorが面白いです。

先にも書きましたが、もともとこの作品にはそれほど期待していませんでした。しかしながら、完全に打ちのめされながら観ています。めちゃめちゃたのしい!

5話では話が急展開します。4話の終わりでまたまたキャラクタが登場しましたが、5話冒頭で彼を訪ねてきた一同が急襲されます。襲ったのはなんと自衛隊。連れて行かれたのは何と何と内閣直属の緊急対策本部。

「自衛隊が突然襲ってくるが、平和的話し合いを望んでいる」

という、アクロバティックな状況を、ごく自然に理由付けした脚本に完敗です。そりゃそうだ。完全に人間を越えた能力を持つ存在が来ていることに対して対策を練っていたところ、人類を越えるテクノロジーによる重機がやってきたのですから、緊急出動せざるを得ません。菊地原さんによる「政府視点での経緯」が、物語の背景に一層情報をあたえていて、大変自然な解説となっていました。

こういう筋書きで出てくる政府は無能か有能かが極端ですが、このストーリーでは極めて有能な内閣でした。代表者一人に権限を十分与えて耳を傾ける組織というのは、その時点で大変有能といわざるを得ません。前線の指揮官(階級が低すぎると思った)が

「私にはその権限が無い」

といったことと対照的に、菊地原さんが居並ぶ大臣(?)を前に独断で次々と話をつけて行ったシーンが印象的でした。

私はこの作品ではメテオラが一番好きなキャラクタです。飄々とした屁理屈を使うかと思えば、賢く誠実な性格の持ち主もあります。メテオラと菊地原女史の会話は、濁りの無い、美しい精神による、目的を一にした話し合いといった風で、心地よく観ることが出来ました。

それぞれノーヒントであったことから、軍装の姫君と1話冒頭の自殺者は関係があるのでは無いかと考えていましたが、今回ついに結びつきました。次回は悲しい話になりそうです。