コミックス「氷菓」2巻

読みました。

ちょっとセリフに絵が押され気味ですかね。第1話の膨大な絵の量の印象が強いですが、ページ数で言うと、本当はこのくらいが適当なのかも知れません。そうすると確かにセリフが多くなりがちです。ともあれ、相変わらずのクオリティですので安心して読むことが出来ます。

雑誌掲載時にも思いましたが、パイナップルサンドでの依頼シーンの「駄洒落か」は、後々の伏線になってます。細かい。

1巻の時と同じく、作者のタスクオーナさんは絵とストーリーをおおむねアニメ通りにしながら、一方で自分で原作を読んでその解釈を入れているため、作品としては原作とアニメの中間程度になっています。そのためか、所々はっとするところがあります。たとえば、「大罪を犯す」の最後のページ。奉太郎の自戒は心地よい余韻を残します。また、千反田邸での推理では奉太郎は原作と同じく極端な灰色に対する疑問が発端になっています。

3巻では「氷菓」完結のようですが、このペースだと「愚者のエンドロール」まではやりそうで、とても楽しみです。

ところで、表紙カバーをめくった部分のイラストは、1巻の千反田さんに続いて摩耶花です。机の上に天秤がありました。きっとタロットのシンボルがベースですね。そうすると1巻の千反田さんは犬の散歩に見えて、実は歩き回る愚者なのでしょうか。今後のイラストを予想すると、里志が楽しげなものになりそうなのはいいとして、奉太郎は相当かわいそうなイラストかも。

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コミックス版「氷菓」 第1巻

放送開始と同時に、「氷菓」のコミックス第1巻が発売されました。少年エース連載分ですが、実際には今月発売の6月号掲載分も収録されています。放送開始に合わせてコミックス1巻を出したいという角川の意向でしょう。作者のタスクオーナさんは大変だったでしょうね。

さて、内容ですが文句のつけようもありません。タイアップ企画なのでキャラデザをアニメに握られた状態ではありますが、その上でアニメでは動きと背景の作り込みの印象が強烈であるのに対して、動きのないコミックス版ではむしろ原作通りのしっとり感が出ています。台詞に関しても尺の制限がない分、重要な台詞をきちんと解釈してコマに落としている作品で、こんな作品を読めるなんてファンとしては大感激です。

タスクオーナさんによるコミックスは、描写が細かく遊び心に富んでいるのが特徴で、たとえば「愛無き愛読書事件」における、女子高生のシルエットなど、原作既読者でかつアニメのキャラ設定をチェックした人なら、思わずニヤニヤするでしょうし、同解決編の最後のページの左にある余白ページの一コマなども、イヒヒと笑ってしまいました。

また、コミカルなところはコミカルに、深刻な所は深刻に描かれたメリハリのあるストーリー運びも楽しい部分です。「不毛です」の下りの千反田さんの表情の変化だとか、「お前達なら本を読む以外にどんな風に使う?」という問いに対する各人の返事のイメージも楽しかったですね。摩耶花酷いよ、図書委員なのに。

というわけで、コミックス版「氷菓」第1巻は米澤ファンに安心してお勧めできる一冊となっております。

カバーめくった所のイラスト、あれは米澤作品では不吉だと思いますけどね(苦笑)

コミック版『氷菓』、安定のおもしろさ

本日発売のコミックエース誌に、コミック版『氷菓』、第三話が掲載されています。

話の内容は「愛無き愛読書事件」前半です。内容は、言うこと無しです。そもそも古典部シリーズは推理のネタが割れても読み物としての面白みが減らないところが持ち味なわけですから、筋を知っている事はマイナスになりません。そこにきて、活き活きとした絵が付いているのですから、千反田さんによる奉太郎の振り回されっぷりのおかしみも増えようというものです。

前回、時系列順で間にはさむ形になった短編『やるべきことは手短に』ともうまくつなげてあります。

ただねぇ、不思議な事に24ページしかないんです。来月26日発売のコミック版『氷菓』第一巻は180ページだそうで、計算が合いません。ひょっとすると放送開始と会わせるために4話の雑誌掲載とコミック発売を同時に行うのでしょうか。

コミック『氷菓』1巻、その他

アニメ放送開始までおおよそ1ヶ月、ようやく各種情報に熱気をはらむ慌ただしさが伴ってきました。いいですねぇ。

コミック『氷菓』

コミック版の第1巻は、amazon.co.jpによれば、4月26日発売です。この日は『氷菓』第4話が掲載される少年エースの発売日ですから、自動的にコミック第1巻には第3話までが収録されることになります。原作では時間軸に従って以下のエピソードでしょう。

  • 「伝統ある古典部の再生」
  • 『やるべきことなら手短に』(短編集『遠まわりする雛』収録)
  • 「名誉ある古典部の活動」(愛無き愛読書事件)

第3話は予想ですが、間違い無いでしょう。第1話が57ページ、第2話が44ページ、コミックは180ページとのことですから、諸々さっ引いても第3話は60ページ前後になりそうです。だとすると、第3話は愛無き愛読書事件だけでなく、「事情ある古典部の末裔」も含んでいるかも知れません。

アニメは21あるいは22話

テレビ局に電話で聞いた方がいらっしゃるらしく、『氷菓』は21話あるいは22話になるとのこと。『遠まわりする雛』まで含めてじっくりと描かれた古典部を堪能できそうです。

京アニのサイトがリニューアル

京都アニメーションのサイトはこれまでディザー・サイトの位置づけでしたが、公式サイト・オープンに伴い、3月23日より『TVアニメ「氷菓」京アニサイト』としてリニューアル・オープンするとのこと。

PV感想

公式サイトにPV第一弾が公開されています。PVだからでしょうか、テレビアニメと思えないほどすさまじく高いクオリティの描写になっていて、びっくりです。こう言うのを見て「ワーキング・プア」等という言葉が浮かぶあたり、悲しき社会人である自覚はあります。話としては文集のバックナンバーを探すあたりまでが収録されているようです。

さて感想ですが、「千反田さん、目が妖怪みたいwww」

まぁ、冗談はさておきこの動画を見てアニメ版の方向が少しわかった気がします。

もともと古典部シリーズはアニメ化しても地味に過ぎやしないかとは言われていました。原作は落ち着いた文体に支えられた柔らかいストーリーです。宇宙人、未来人、超能力者、異世界人も出てこず、その手のストーリーに大抵一人いるべき巨乳な萌えキャラも眼鏡ッ子もいません。

ライトノベルにありがちな派手な記号性、エロ、萌えとは無縁で、その代わり推理小説らしい精度が高く密度の濃い文章に支えられた落ち着いた青春劇が展開されます。まぁ、深夜アニメの視聴者層が求める世界観とは違うわけです。

その世界観を代表するのがヒロインの千反田さんで、名家の一人娘である彼女はすらりとした線の細い長身、大げさな表情を表に出さず、楚々とした振る舞いの「女子高生というより女学生」然とした少女です。

原作ファンのほとんどが重要視していたと思われる彼女のビジュアルが、原作から想起される物からかなり変わっていたことは、当初かなり違和感を感じさせました。

アニメ版のキャラ設定では、彼女は「比較的テンプレ的な黒髪ロングの少女」像に押し込まれており、ぱっと見て線が細いとか、長身とか、育ちの良さそうな楚々とした感じはまとっていません。一方摩耶花もPVのナレーションこそ「小柄で童顔」と紹介していますが、公開されている画像や動画からはそう言ったビジュアルではありません。原作を最初から読んでいたファンの間では、「摩耶花の方が千反田さんより美少女」という認識が強かったようですが、アニメのキャラ設定ではそうなっていません(短編「やるべきことなら手短に」が発表されるまで、千反田さんが美人か否かは不明だった)。里志も小説とは異なるイメージのビジュアルです(ただし彼にはほとんど違和感を感じない)。

キャラクターデザインが原作から乖離している背景は二つあるのではないかと思っています。

一つは、そもそも原作が容姿の描写を生かせていないこと。確かにヒロインである千反田さんの姿はかなり細かに描かれていますが、それは彼女のイメージにはなっても、本質的にストーリーには絡んでいません。奉太郎がちょいちょい「見た目の清楚さと反する好奇心」にぼやいているくらいです。ですから、ストーリーの雰囲気を変えるのなら、彼らのビジュアルはそれほど原作に忠実である必要はありません。

そして、これが肝心なのですが、PVを見るに、アニメスタッフは原作の持つ雰囲気に忠実に作るのではなく、もっと「アニメーション」らしい活気を吹き込もうとしているのではないかと思うのです。原作で省エネ主義者を貫く奉太郎ですが、そもそも古典部の面々は極端におとなしく、動きを見せません。何しろ原作中彼らが走るのは片手の指でも多すぎるくらいの回数でしかありません(第5巻を除く)

原作付のアニメなら、原作のおもしろさをアニメ化しなければどうしようもないわけですが、逆に言えばこれだけは譲れないと言う点を除けば少々変えてもいいことになります。とすれば、古典部シリーズのおもしろさとは何か、譲れないこととは何か、と言う話になります。

古典部シリーズの特徴は、言うまでもなく

  • 推理小説としてのおもしろさ
  • 青春の苦味や痛みを描いた群像劇
  • 淡い恋愛模様

といった点です。

PVを見て思ったのは、スタッフはそう言う点を残してアニメ向きに再構築しようとしたのではないかということです。PV中、千反田さんが原作ではあり得ないような動きで奉太郎を引っ張るシーンがありますが、あれだってアニメの記号性としては当然アリなわけです。

わたしとしては上の三つの項目さえ守られていれば、まぁ、よほど突飛な事でない限りOKかなというスタンスでして、花が咲き乱れるシーン(笑)まで含めてスタッフのお手並み拝見という気分で居ます。

漫画版『氷菓』 第2話

早いもので、早くも第1話から1ヶ月です。少年エース4月号を買ってきました。

前回は入部編と言うことで、今回が「愛無き愛読書」になるか、「やるべきことなら手短に」になるか注目していたわけですが、蓋を開けてみれば後者でした。時系列順です。と言うことは次回は「愛無き愛読書」と喫茶店のエピソードでしょうか。連載がいつまで続くのか、コミカライズを引き受ける方も不安だと思いますが、にもかかわらず話しが長くなりがちな時系列順を選んだことには素直に賞賛の拍手を送ります。

「やるべきことなら手短に」が収録されている短編集『遠まわりする雛』は、本来本来推理小説シリーズである古典部の作品群の間をつなぐ短辺を収録しています。それらの短辺は独立した推理エピソードであるだけではなく、各長編の間で登場人物達がどのように変わっていったかを丁寧に描くノリシロでもあります。灰色の学園生活でよしとしていた奉太郎が、千反田えるという女の子にどう向き合えばいいのか戸惑う本作品を時系列順に持ってきたことで、彼の心の移り変わりを読み取ることができるようになりました。

ストーリーは前回と同じく、原作の会話の文を骨格としてモノローグをある程度削り落とした、丁寧な仕上がりになっています。キャラクタに合わせてハートやスペードがちりばめられているのも同じです。感心したのは表現が本当に丁寧な点です。

たとえば、千反田さんが里志に部活の文書を渡した後、奉太郎に話しかけるときの一瞬の間が見事です。ここは、千反田さんが一呼吸入れた事で奉太郎が遮るタイミングを与えてしまったわけですが、その一呼吸や、奉太郎に先を取られて一瞬混乱する千反田さんの表情などが鮮やかな手並みで表現されています。

また、虚実の間で戸惑う奉太郎の心理を、彼の視点による千反田さんに、彼自身のモノローグを重ねることで表現がより丁寧なものになっています。

お試しで買った先月号に加えて今月もあたりでした。しばらくこの雑誌が楽しみになりそうです。

漫画版『氷菓』

米澤穂信『氷菓』のコミカライズが予告されていた、少年エース2012年3月号を買ってきました。分厚いです。重くて電車の中ではとても読めません。

内容については、なかなか楽しめました。あまりうるさ型じゃなければ原作ファンは楽しめるでしょう。むしろ、原作を知っていないとわからないネタが仕込まれていて、そう言う意味では原作ファンへのサービス精神を見ることができます。

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