前回主人公の恒一が無視され始めたことで、ヒロインの鳴がようやく心を開いた「Another」。今回はその話を受けつつ、次回へと続くつなぎ回のようです。
3年3組で死者が出ることに対しては学校で長いこと認識されており、一部の人はそれに対して仮説を持っています。それらを総合した鳴の考えによると、この問題は呪いではなく現象です。意志によるものではなく、新学年とともに始まり、卒業で幕を引く現象。現象が起きている間には、誰にも真相がわからず、現象が終わると何が引き金だったのかわかる現象。
図書館司書である千曳は最初に「みさき」が死んだ年の担任でした。彼はその後教師を辞め、司書として学校に残っています。その彼は、現象が起きるときにはクラスの人数が1人増え、誰が増えたのかわからないのだと言います。そして、1人増えた年は毎月死者が出ます。現象を押さえたければクラスの人数の帳尻あわせのため、誰か1人を無視して居ないことにするしかありません。理由は不明ですがそれが知られている唯一の対策です。増えた1人は過去、この現象で死んだ人だと言われています。
今回、いくつかの新事実が出てきました。ちょっとメモしておきます。最近記憶が悪くて番組見ている間に「お!」と思っても、終わったら忘れていることが多いです。
- 今年は現象がないはずの年だったが、恒一が転入したことで机が足りなくなった。そのため、鳴が5月から「居ないもの」とされた。
- 父親の記憶によると、恒一は1年半前に夜見山に来たことがある。
- 鳴と母親の霧果は血が繋がっていないようなニュアンスの発言があった。
- 鳴と霧果の間にはひとつだけタブーがある。それ以外は放任。
- 鳴は目の病気を患ったとき、死線をさまよったことがある。そのせいで今回犠牲者になることはないと考えている。根拠は不明。
- 一昨年の現象の時は、三神先生が担任だった。現象は学年頭から起きていたが、おまじないが破綻したのは夏休み明けで、それから犠牲者が出始めた。
- 一昨年の犠牲者の名には「赤沢」の名字がある。赤沢さんの兄か。
- 恒一の母親のりつ子は、15年前、恒一を生むために夜見山に帰省しているときに死んだ。3年3組の現象の巻き添えと思われる。
- 15年前3年3組だった怜子によれば、15年前の現象は夏休み中の何らかの事件がきっかけで犠牲者が出なくなった。
- 「現象」は、机の数が名簿よりひとつ足りない事で認識される。名簿の名前から記憶から「改竄」が行われているため、誰が紛れ込んだ死者なのかはわからない。
- 年度がかわると、誰が紛れ込んだ死者だったのかがわかる。
- 紛れ込む死者は過去の犠牲者の誰か。
- 犠牲者はクラスに属している本人か、そこから2親等以内。担任、副担任も「本人」。
- 居ないことにするまじないは基本的に3年3組の中だけの話。その外では居る事になっている。
- まじないの成功率は半々。多分厳密な条件などがわかっていないから。
さて、「死者は誰?」というのこのアニメのキャッチフレーズ。鳴が机に刻んだこの台詞、意味があるでしょうか。言い換えると、増えた1人として学園生活を送っている死者を探すことに意味があるでしょうか。
推理小説では、読者とフェアな戦いを行うためのルールがいくつかあるそうです。その中の一つ、ノックスの十戒には次のようなものがあります。
- 犯人は物語の初めの方で登場している人物でなければならない
Anotherは推理小説ではなさそうですし、そもそも死者捜しは犯人捜しではないため、ノックスの十戒を持ってくるのが適切かどうかはわかりません。しかし、ここはひとつお遊びとして死者捜しをしてみましょう。Another原作者は十戒に基づいて前半に登場した人物を死者としていると仮定します。もう少し言うと、アニメ公式サイトの登場人物紹介に死者が居るとします。死者は実存し、他者から認識することができますので、会話の不明点などは、探るだけ無駄かも知れません。てか、高林君も担任の先生も人物紹介にいないじゃん。哀れ。
6話までで死んだ人々
水野さん:看護婦。クラスメイトの水野君のお姉さんです。エレベータ事故で死亡。
桜木さん:クラス委員。クラスの最初の犠牲者。死んだので死者ではないと思われますが、根拠はありません。死の直前、鳴と恒一が話しているシーンを見て動揺し、逃げ出した理由が不明です。あるいは、「無視が成立していない、誰かが死ぬ」ということに改めて戦慄して逃げたのかも知れません。恒一が鳴を無視していないのはわかっていたことではありますが。
桜木さんのお母さん:桜木さんと同日に自動車事故で死亡。
高林君:河原で恒一にクラスのルールを話そうとして死亡。タイミングが偶然なのか必然なのかは不明です。
藤岡ミサキ:鳴のいとこ。第一回で既に死んでおり、鳴曰く「私のかわいそうな半身」です。「かわいそうな半身」の意味ははっきりとはわかりません。鳴からは4親等であり、現象の性質から今回の現象の犠牲者ではなかった模様。
登場人物紹介に掲載されているクラス関係者
榊原恒一:主人公。3年次に編入。クラスメイトからは当初死者ではないかと恐れられます。実は1年半前に夜見山に来たことがあるという、本人すら忘れていた事実が発覚しています(父親の記憶違いの可能性もあり)。1年半前というと、三神先生のクラスで現象が起きていた時です。
見崎鳴:ヒロイン。クラスメイトからまじないとして居ないものと扱われています。左目が義眼。義眼を作ったのは母親。義眼って特殊な医療用プラスチックなので、通常の人では作れません。これ、ひょっとして重要な伏線ですか。だとしたら、彼女が死者である可能性もあります。義眼では見たくない物が見えると言っています。怖いよ。なお、美術部部員であり、部員達からは普通に慕われています。
風見:秀才君。様子見をしているだけで、自律的な所を感じさせませんね。
赤沢泉:現象対策係であり事実上のリーダーでしたが、桜木さんの死を受けてクラス委員になり、名目共々クラスのリーダーです。クラスメイトを無視することに対しては罪悪感を感じているようですが、義務感から来る事実への取り組みは真剣です。当初恒一を死者ではないかと疑っていましたが、「握手をしたとき手が冷たくなかったから」死者ではないと考えるようになりました。しかし、死者は生者と見分けが付かないはず。握手でわかるなら全員と握手すれば済みます。
勅使河原:ムードメーカー。クラスメイトを無視することには罪悪感を感じているようですが、しかしクラスのルールには従っています。
望月:美術部。三神先生に恋心を抱いている様子。
三神:副担任。美術部顧問。望月君の憧れの人。ぞくっとするくらい美しい人です。一昨年、生徒が無視されることに耐えられなくなって、ルールが破れたため起きた惨劇時に担任だった先生。美術の先生として活動している描写の他、ルールについて生徒にアドバイスを与えるシーンがあります。ただ、恒一を無視して幽霊のように歩くというシーンが一カ所ありました。これ、気になっていたのですが要するに「恒一を無視することに決まった」というクラスのルールに従っていたんですね。スローで再生したら、声をかけられたときに一瞬顔を背けていました。
登場人物紹介に掲載されているクラス以外の人
死者はクラス関係者だと限定すると以下の人々を疑うのは変ですが、まぁ一応。
霧果:鳴の母親です。ミステリアスな人ですが、あまりにも情報が少なすぎます。
千曳:司書。26年前「始まりの年」の担任であり、恒一の母親の担任でもあった人です。現象について一番理解しているというか、一番観察している人でもあります。何人の死を見ている事やら。この現象が呪いではないことを指摘します。クラスメイト以外はルールに従わなくてもいい事を明言したのはこの人ですね。鳴と恒一の一番の理解者になりつつあります。
怜子:恒一の叔母。怜子は15年前3年3組でした。その際、出産のため帰省していた恒一の母親が、現象の犠牲になって死んでいます。仕事で疲れているなどと前置きがあるものの、唐突な発言があったり、少し怪しい人ではあります。
りつ子:26年前、「始まりの年」に3年3組に所属していました。怜子が3年3組だった年に帰省して死んでいます。千曳が「よりによってりつ子君か」と言っているため、26年前に何らかの特別な役割を果たした可能性があります。
死者は誰?
死者がクラス関係者であるのなら、現在開陳されている証拠に基づく限り、怪しいのは現時点で恒一と鳴です。ただ、前半の鳴の幽霊疑惑と同じく、ミスリードを狙った展開である可能性もありますからね。まだ何とも言えないところです。
誰が死者か、に関しては「過去xxxだったから、こいつがここに居るのはおかしい。だからこいつが死者」という事ができません。なぜなら、過去の記録は改竄されているからです。たとえば、
恒一は実は一昨年のクラスの一人だった。産まれたのは17年前。怜子は17年前の3年3組で、りつ子も17年前に死んだ。
のだとしても、現象進行中には記録と記憶が改竄されているため、わかりません。
あれ、でも夜見山の外は圏外なんですよね。だったら全員で夜見山の外に遠足なり修学旅行なりに行けば誰が死者かわかる気がしますが。修学旅行ってかつては3年次だったのが2年次に変更されています。何か関係あるのでしょうか。
今回、鳴が恒一に少しだけ心を開いています。二人で無視されて、ふたりでサボり、二人でご飯を食べ、二人で話をする。とてもつらい目に遭っているのに、静かで、心安らぐ時間。そんな情景が細やかに描かれていました。こういう丁寧に作られた作品は大好きです。