『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』

柚木さん@ぶちまけない。

あのセリフ言わせないとか、どんな判断なんでしょう。権利問題解決できなかった?

そりゃそうと、今回見てふと以前話題になった『戦争待望論』を思い出しました。努力しても上に上がれず、ただ、偶然によって下流に甘んじなければならないのなら、すべてをシャッフルする戦争が来ればいい、と。ワーキング・プアーなどの問題を見据えないと主張の根幹を見誤る話でしたが、妙に八幡がやったことと重なります。

「社会なんかクソなんだから、自分が変わってもどうしようもない」

問題を解決するのは不可能。でも、問題を霧散させるだけならできる。社会が壊れればいい、と。平塚先生が八幡を認めつつも、ちゃんとサイテーだと言ってのけるのが好印象です。

『はぢがーる』 4巻 まさかの超ストーリー

このブログを立ち上げた頃からの一押し漫画、『はぢがーる』の4巻が出ました。

3巻の終わりで高熱にうなされながら本田くんに告白した紗絵ちゃん。しかし、その告白はタイムリミットを踏み越えており、課題はクリアならず。卵から産まれてきた天使ならぬ謎の芋虫に延長戦として課題を出し続けられる紗絵ちゃんはこれまで以上の暴走を繰り広げます。

読みながら目が回る思いでした。私は雑誌連載分を読んでいませんので、単行本が初見になります。そして4巻の中の紗絵ちゃんは、これまでとは全く違った表情を見せるようになっています。当初、極度の恥ずかしがりとして登場した紗絵ちゃんは、あまりの恥ずかしさから周囲に壁を作り、男の子を寄せ付けない女の子でした。そのくせ、恋に恋する乙女なのです。

その紗絵ちゃんが、転がり込んできた「天使の卵」に振り回されつつ、気になる男子本田くんとあれやこれやを繰り広げる悶絶ストーリーが『はぢがーる』でした。3巻でとうとう自分の気持ちに気づいた紗絵ちゃんですが、本田くんを好きになってしまったが故に、これまでの「課題クリア」のためのアクションに激しい罪悪感を抱きます。そして、現れた恋のライバル真木さん。自分より遙かにまっすぐで隠すところのない真木さんに劣等感を抱く紗絵ちゃん、というのが3巻までの流れです。

が。

まるでこれまでため込んできた感情が一挙にはき出されるがごとく、4巻では発露されます。それも、恥ずかしがり屋状態のままで。結果的に圧力鍋のごとく血圧を上げる紗絵ちゃんは、赤面度が20%増しです。しかも、気持ちが漏れる漏れる。

課題で本田くんに水着を選んでもらうことになったものの、本田くんが真木さんの水着を見ている「ような気がして」、思わず「ねぇ、どっちがいい?」と聞いてみるシーンとか、反則ものです。だって、詰問じゃなくて、すがるような顔で聞くんですよ?本田くんじゃなくても悶絶ものですよ。

また、外出先で休日デート中の本田くんと真木さんを見つけて、思わず涙を流すシーンもよかったです。紗絵ちゃんって、決してここで焼き餅焼いて誰かにあたったりしないんですよね。ただ、涙を流す。と思ったら本田くんに乗り込んでるし!

天使に振り回されて本田くんを巻き込むことに胸を痛める紗絵ちゃんは、いつか本田くんに本当のことを話したいと告げます。でも、今は言えない。それでも、「話してくれてありがとう」という本田くんがイケメン過ぎて生きるのがつらいです。が、この4巻のもう一つの見所は、本田くんの気持ちの揺れでした。笑顔が朗らかでまっすぐな気持ちをぶつけてきた後輩の真木ちゃんと、今ひとつ気持ちを読み切れないクールビューティーの紗絵ちゃん。この二人の間で揺れながら、彼が次第に自分の不誠実さを思い悩み始める姿がじっくり描かれている様は見事でした。

1巻を見始めた頃は、ストーリーには期待できないなどと考えていましたが、作者はこれまで重ねてきた物語の上できちんと登場人物達を育てています。それがゆっくり丁寧に描かれている様は、もっと多くの人に読んでほしいと思えるできあがりです。

 

翠星のガルガンティア 7話「兵士のさだめ」

急にストーリーが動きました。

サルベージ中にレドが遭遇した「クジライカ」は、ヒディアーズそっくりでした。交戦し、これを殺すレド。しかし、クジライカはどう猛で、一体殺せば必ずお礼参りがあります。禁忌に手を出したレドに、ガルガンティアは揺れます。

正直詰め込みすぎの印象もありますね。そして何より、責められるべきはレドではなくリジットです。レドは掟を知らぬ流れ者であり、直前までガルガンティアのどのコミュニティにも従属していませんでした。必然的に、彼を留め置く上での責任はガルガンティアの上層部にあり、実務を運営しているリジットその人こそが、レドの受け入れと教育に責任を持つべきです。彼女がレドを責めるのは筋違いです。

それにしても、こんなザルみたいな脚本やめてくださいよ。リジットさん、容姿が好みど真ん中な上に中の人が大原さやかさんですよ。「俺大歓喜」なリジットさんにこんなアホなことさせるなってんだい!

海賊とかクジライカとか、この世界はお礼参りが基本行動なんですかね。

遺伝子解析でヒディアーズと同一種と判定されたクジライカに、レドは殲滅を宣言します。しかし、止めに入るエイミー。さらに銃を突きつけて阻止するリジット。圧倒的な武力を持つレド=チェインバーにしてみれば、リジットの排除は造作もないことですが、それをしないあたり、対立しつつもガルガンティアにレドがなじんでいることをさりげなく描写していました。そして前回さらりと描かれたエイミーとレドの気持ちが、今回の二人のすれ違いを悲しく彩ります。この演出はうまかったです。

物語全体で言えば、どうやら「銀河連邦がヒディアーズにちょっかいかけるのがまずいんじゃない?」とうい雰囲気が立ちこめてきました。チェインバーは「共存共栄」と言いましたが、どちらかというとガルガンティアの態度は「触らぬ神に祟りなし」です。さて、次回はどうなりますか。レドはエイミーを泣かすなよ。

ついでにヒディアーズについて

翠星のガルガンティアのエミリーについて妄想したので、ついでにヒディアーズについて。

まずはヒディアーズについてわかっている事実です。

  • 宇宙空間に住んでいる
  • 軟体動物的である
  • 触手があり、触手に棘がある
  • 巣を持っている
  • 人類と同程度のビーム兵器建造能力がある
  • 正体は未だ謎である

これらはほとんどが第一話の冒頭シーンで開陳された事です。

次に、レド達宇宙移民組について

  • 太陽の異変で地球が全球凍結したときに宇宙に離脱した
  • 居住惑星を持たない
  • 地球がどこにあるか忘れてしまっている

最後に地球残留組について

  • 地球が全球凍結した後、氷が溶けて大陸が消えた
  • 海面下にかつての都市や船が沈んでおり、サルベージして使っている
  • 牛を飼っている。現在の牛と同じである。
  • 魚を撮っている。現在の魚と同じである。
  • 夜光虫は現在のものと違う
  • タコは現在のものと違う。形がいびつであり、腕足に棘がある。レドはヒディアーズだと認識した。
  • イカは現在のものと違う。明らかに今のいかが持っていない器官が体側に見える。チェインバーはヒディアーズだと認識した。

えー。

結論から書きますが、これ、人類の宇宙脱出って氷河期が原因じゃないですよね。地球脱出の理由、地球座標忘却の理由って、本当は都合の悪い事実を隠すためでしょう。それで、ヒディアーズの正体を知らないってのも、都合の悪い事実を隠してませんか。たとえば、「地球に行って一目見れば、その事実がわかっちゃうような」まずい話ですよ。

いくら軟体動物が下等だからって言って、イカだのタコだのって、進化的には安定しているんですよ。勝者ですから。うまく適応しています。脊椎動物に比べて猛スピードで進化するなんて事はありません。それに、いくら深海の酸素濃度が低いからって、何十万年にもわたって、鉄が新鮮なままの筈はないんです。たかだか数千年、あるいはひょっとすると数百年。人類が文明を失ってからの時間ってその程度でしょう。

おそらく、人類が宇宙放散を決めたのは、海洋において地球規模の大災害を人類が引き起こしたためです。それは南極の氷を解かし尽くして、大陸を沈めるほどのものでした(実際には南極とグリーンランドの氷が融けてもすべての大陸が沈むわけじゃない)。

そのとき、宇宙進出用の荷役動物として改良中だった、軟体動物の実験が失敗。暴走によって放散された一部生物がヒディアーズとなり、海へと落ちていった一部の実験生物がタコだのクジライカだのになったのではないかと想像します。やばい!と思った人類はほっかむりして逃走、歴史を書き換えて後世には隠した、と。

レドの救難信号が受信されない理由も想像がつきます。だって、彼は不都合な真実を見ちゃってます。

さて、当たるか外れるか楽しみです。

翠星のガルガンティア 6話

年の割に妙に色気づいている3人娘ですが、今回は何か彼女達の背景的なものがちらりと顔を覗かせました。

(あまりらしくない)祭の出し物なのか、酔っぱらい達の前で踊る三人娘。表情は子供ですが明らかに大人の女の性を強調した振り付けです。その踊りに惹かれたレドは「踊りを練習したのか」と聞きますが、エイミーは言いよどんだ様子。なんかここ、ひっかかりますよね。

最初からレドのイケメンっぷりに積極的なサーヤとメルティでしたが、今回も踊りの前にエイミーにいい男を探したかと言ってます。

今のところ、何の根拠もない推察ですが、「男を捜す」と「踊り」に関係があるのなら、あるいは一定年齢に達したら結婚して子供をもうけることがコミュニティから求められるといった風習でもあるのかもしれません。第一次産業とブルーカラーに特化したコミュニティですし、子供を産ませることに積極的でも不思議ではありません。結婚相手がいないのならコミュニティが割り当てるのかも。

その辺がどう転がるか、楽しみですね。レドはエイミーに惹かれているようですし、エイミーも懐いています。とはいえ、いずれは宇宙へと帰る男ですから、エイミーとしては複雑でしょう。

ところで、今のところ『シェーン』的展開ですね。

やはり俺の青春ラブコメは間違っている 5話

話の転回点となる回でした。

話の主軸は八幡のクラスメイトである川崎さんの素行不良です。彼女とのやりとりで揺さぶられる雪の下さんの様子から、雪の下家の複雑な事情がわずかに顔を覗かせました。一方、八幡と由比ヶ浜さんの関係は大きな壁にぶつかります。

奉仕部に放り込まれてからの2ヶ月、本人は認めないでしょうが八幡の生活は「ぼっち」から大きく距離を取り始めていました。その中心にいたのは奉仕部の最初の一人である雪の下さんではなく、二人にとって最初のクライアントである由比ヶ浜さんでした。彼女の持ち前の明るさは磁石のように人を引きつけるのか、八幡の周りもそれなりに賑やかになっていました。

が、突然八幡は気がつきます。由比ヶ浜さんは事故の件で気を遣っていたのだと。

それは八幡の勘違いですが、彼の過去の苦い経験が、対人関係の壁を作らせます。勘違いなんかしたくない、すれば自分が傷つく。そして、優しい女の子は一番自分を勘違いさせる、と。何より、だんだん仲良くなってきた、ひょっとすると自分に気があるのでは無いかと考えていたかもしれない由比ヶ浜さんのこれまでの接近の理由が「事故へのフォローだった」というのは、彼にとって痛烈なショックだったはずです。

それにしても、切ないシーンでした。ようやく仲良くなれた八幡にいつものように声をかけた結果がこれです。由比ヶ浜さんにとってもショックでしょう。もうちょっと押せばいいのに、とも思いますが女の子ですもんね。

脚本は駆け足気味で、原作のストーリーをなぞるのが精一杯のようです。歯車に関する独白が削られたのは惜しいことでした。