このブログを立ち上げた頃からの一押し漫画、『はぢがーる』の4巻が出ました。
3巻の終わりで高熱にうなされながら本田くんに告白した紗絵ちゃん。しかし、その告白はタイムリミットを踏み越えており、課題はクリアならず。卵から産まれてきた天使ならぬ謎の芋虫に延長戦として課題を出し続けられる紗絵ちゃんはこれまで以上の暴走を繰り広げます。
読みながら目が回る思いでした。私は雑誌連載分を読んでいませんので、単行本が初見になります。そして4巻の中の紗絵ちゃんは、これまでとは全く違った表情を見せるようになっています。当初、極度の恥ずかしがりとして登場した紗絵ちゃんは、あまりの恥ずかしさから周囲に壁を作り、男の子を寄せ付けない女の子でした。そのくせ、恋に恋する乙女なのです。
その紗絵ちゃんが、転がり込んできた「天使の卵」に振り回されつつ、気になる男子本田くんとあれやこれやを繰り広げる悶絶ストーリーが『はぢがーる』でした。3巻でとうとう自分の気持ちに気づいた紗絵ちゃんですが、本田くんを好きになってしまったが故に、これまでの「課題クリア」のためのアクションに激しい罪悪感を抱きます。そして、現れた恋のライバル真木さん。自分より遙かにまっすぐで隠すところのない真木さんに劣等感を抱く紗絵ちゃん、というのが3巻までの流れです。
が。
まるでこれまでため込んできた感情が一挙にはき出されるがごとく、4巻では発露されます。それも、恥ずかしがり屋状態のままで。結果的に圧力鍋のごとく血圧を上げる紗絵ちゃんは、赤面度が20%増しです。しかも、気持ちが漏れる漏れる。
課題で本田くんに水着を選んでもらうことになったものの、本田くんが真木さんの水着を見ている「ような気がして」、思わず「ねぇ、どっちがいい?」と聞いてみるシーンとか、反則ものです。だって、詰問じゃなくて、すがるような顔で聞くんですよ?本田くんじゃなくても悶絶ものですよ。
また、外出先で休日デート中の本田くんと真木さんを見つけて、思わず涙を流すシーンもよかったです。紗絵ちゃんって、決してここで焼き餅焼いて誰かにあたったりしないんですよね。ただ、涙を流す。と思ったら本田くんに乗り込んでるし!
天使に振り回されて本田くんを巻き込むことに胸を痛める紗絵ちゃんは、いつか本田くんに本当のことを話したいと告げます。でも、今は言えない。それでも、「話してくれてありがとう」という本田くんがイケメン過ぎて生きるのがつらいです。が、この4巻のもう一つの見所は、本田くんの気持ちの揺れでした。笑顔が朗らかでまっすぐな気持ちをぶつけてきた後輩の真木ちゃんと、今ひとつ気持ちを読み切れないクールビューティーの紗絵ちゃん。この二人の間で揺れながら、彼が次第に自分の不誠実さを思い悩み始める姿がじっくり描かれている様は見事でした。
1巻を見始めた頃は、ストーリーには期待できないなどと考えていましたが、作者はこれまで重ねてきた物語の上できちんと登場人物達を育てています。それがゆっくり丁寧に描かれている様は、もっと多くの人に読んでほしいと思えるできあがりです。